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また増えている。
屋根裏アジトは来る度、何かしら物が増えている。棚はもちろん作業机の上、果ては床にまで無造作に置かれている。雑多で共通項も見出せない雑貨類から部屋の主の趣味を見出すのは難しいだろう。竜司が押し付けたもとい贈ったラーメンの食品サンプルもその中の一つだ。この中では比較的まともな部類に入ると思う。少なくとも別のものを連想してしまうスワンボートや巨大湯のみよりはマシなはずだ。
棚はまだいい。それよりも床に放置されているあのぬいぐるみはなんだろう。某球団のマスコットと思しきそれも例に漏れず貰い物なのは予想がつく。贔屓の野球チームがあるなどと聞いたことはないから。スカイタワーのライトと裸婦像に挟まれている姿は非常にシュールである。物置感が増している。
なんとも言えない気分になりながら、部屋の奥へと進みベッドに腰掛ける。ベッドから部屋を見渡すとライトの光もちょうどよく見えなくはない。光に照らされたマスコット人形はおかしな雰囲気になってしまい、こちらを見ているようで落ち着かないが。
部屋の主である圭が階下の店主に呼ばれ席を外してからすでに十数分。勝手知ったるアジトで、中途半端な空き時間を持て余している竜司なのであった。
（ぬいぐるみ、ねえ）
作業机の上のコレクションは、増える度に自慢して来るので、興味もないのにゲーセンのラインナップに詳しくなってしまった。特にジャックフロスト人形はお気に入りらしく、約束事をする時にしばしば賭けられる。別にいらねえと思っているが一応黙っている。
そういえば、大きなサイズのものを最近ゲーセンで見かけた覚えがある。あれも頂戴しに行くんだろうか。